豊かな自然に恵まれ、歴史と文化を育んできた東広島市。
 かつては、のどかな田園風景が広がっていたこの地域も、急速に都市化し、また高齢化も進んでいます。
 こうした急激な変化の中にあって、ストレスの増加や老人医療の課題など、地域の医療ニーズはますます多様化しています。
 しかし、どんなに医療や福祉サービスが充実しようとも、心の病を持つ患者様やお年寄りの“こころ”を豊かにし、“いのち”を輝かせていけるのは、ご家族であることに変わりありません。
 私たちは、ご家族と、そして地域のみなさまと共にかけがえのない“いのち”を支え続けてまいります。
 
 
信頼を基盤に、地域の医療・福祉ネットワークづくりを推進
 1963年、精神科病院として開院して以来、私たちは地域医療を担う基幹病院として、常に地域の医療ニーズに対応した治療とケア、サービスの拡充に努めてまいりました。
 現在、入院治療・外来診療はもとより、社会復帰や家庭復帰をめざす患者さまの自立への支援と患者さまやそのご家族を地域の中で支えていくさまざまな活動を展開しています。
 特に高齢化社会を迎え、質の高い医療ときめ細かなサービスが必要とされている老人医療において、私たちは早くから行政や福祉団体、地域の医療機関と連携をとりながら、「東広島市在宅介護支援センターゆうゆう」、「東広島訪問看護ステーション」、「重度認知症患者デイ・ケアゆうゆう」の3つの活動を柱に、認知症のお年寄りとそのご家族を支える基盤づくりをおこなってまいりました。
 患者さまやご家族からの信頼を基盤に、病院から地域へと広がった私たちの活動。
 一人でも多くの患者様が、価値ある日々を過ごすことができるよう、今後も、心の通ったケアとサービスに努め、地域の皆様とともに、新しい時代の精神科医療、老人医療に取り組んでまいりたいと思います。
 
 
 運動場や農場のある広い場所で、過剰な薬物に頼らない開放的な医療をとの思いのもとに、宗近病院は、開放医療を基本に、アメニティーの確保と、施設の近代化に努めてまいりました。
 「開放医療」という理念は、病棟の開放化だけにとどまるものではありません。患者様が安心して入院し、治療に専念できる病院、そして地域に開かれた病院であり続けたいと思っています。
 とくに入院治療においてはスタッフの質的および量的充実をはかり、それぞれの専門性を生かしたチーム医療を展開。その結果、ここ数年の間に入院された患者様のほとんどが3ヵ月から半年で退院されています。
 個々の患者さまのニーズに応じたきめ細かな治療と看護、そしてゆとりのあるケアによって対話が生まれ、患者様とスタッフの間に信頼の絆が結ばれていくのです。
 
 
 作業療法をはじめ、精神科デイケア・デイナイトケア、グループホームや共同住居など、宗近病院では、患者様の社会復帰にむけてさまざまな活動を展開しています。
 入院中の患者様を対象とした作業療法では、スポーツや園芸、創作活動などを通じて、心身をリフレッシュ。活動を通じて患者様の自発性、協調性を培っています。
 また、家庭や地域で生活をしながら病気の治療をしている患者様には、精神科デイケア・デイナイトケアを実施。同じ悩みをもつ仲間との話しあいや多様な活動に参加することによって、柔軟な対人関係をつくり、社会性を養っていきます。

 「デイケアに通い始めてから、人と話すのが楽しくなりました」と語る患者様。ともに語り励ましあえる仲間がいることが、患者様の大きな支えになっていることを実感するのは、そんな場面に出会ったときです。
 
 
 仕事や住まいの確保、生活上の問題など、地域や家庭に戻っても、患者様は、多くの悩みや不安を抱えています。
 共同生活は、退院しても家族の受け入れ体制が整っていない、すぐには自立した生活が難しいという患者様がスタッフの援助・指導を受けながら自立をめざす場所です。
 患者様は自炊生活を行いながら職場に通い、徐々に自立への自信を深めていきます。
 また、訪問看護による継続的なケアや社会資源の活用、心の病をもつ人々への理解を促す啓蒙活動の実施など、地域のなかで生活する患者様を支えるための活動も積極的に行っています。
 
 
 これからの老人医療、とりわけ心身両面にわたる対応が求められる認知症に、精神科病院が果たすべき役割はきわめて大きいといえるでしょう。私たちは、長年にわたる精神科医療の経験を生かし早くから老人医療に取り組んでまいりました。
 認知症の専門治療を必要とするお年寄りをはじめ、問題行動や精神的な症状によって、日常生活がままならない。そんなお年寄りを温かくつつみ、症状に応じたきめ細かな治療とケアを行うため、専門的なトレーニングを受けたスタッフを多数配置し、看護力・介護力の強化に努めています。